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2014年3月22日アメリカ合衆国ワシントン州オソの土砂崩れの発生時刻推定

2014年3月22日、アメリカ合衆国ワシントン州オソで大規模な土砂崩れが発生しました。本災害により亡くなられた方々のご冥福お祈りし、被災され た多数の方々にお見舞いを申し上げます。

我々は地震計のデータを利用して、土砂崩れが発生した時間を推定しました。 解析の結果、3月22日午前10時37分にやや大規模で2分程度続く振動がありました(図1参照)。これが最初に発生した土砂崩れであると考えられます。また、これより小規模で2分ほど続く振動が10時42分頃観測されています。その後も数分に一度かなり小さい振幅の揺れが継続して観測されています。小さい振幅の揺れの継続時間は1分未満です。これは、小さい土砂崩れが継続して起こっていたことを示すと考えられます。

地震波形からは、すべりはじめの後急激に加速し、ゆっくりと減速していく様子が分かります。谷底に衝突するようなインパクトの強い信号は確認できません。

インバージョン解析の結果、主要な地すべりのすべり方向は、北西から南東に向かって流れて行ったことが分かりました(図3)。

このように地震計で土砂災害の信号をとらえた例は、1980年5月18日のSt. Helens山の噴火にともなう崩落、2006年2月17日のフィリピン・レイテ島での地すべり、2011年9月の台風12号の紀伊半島の深層崩壊などがあります。



図1 3月22日午前10時からの地震計の連続波形



図2 オソの地すべりの地図。点線が主な崩壊地を示す (Google Map and Dailymail)



図3 インバージョン解析の結果得られた地すべりの運動方向



図4 アメリカ3月の日降水量(National Stage IV QPE Product, NOAA)



参考文献:

Yamada, M., H. Kumagai, Y. Matsushi, and T. Matsuzawa (2013). Dynamic Landslide Processes Revealed by Broadband Seismic Records, Geophysical Research Letters, doi:10.1002/grl.50437.

Yamada, M., Y. Matsushi, M. Chigira, and J. Mori (2012). Seismic recordings of the Landslides caused by Typhoon Talas, Geophysical Research Letters.


謝辞:
本研究では、IRIS Data Centerでアーカイブされた地震計データを利用しました。ここに記して謝意を表します。


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