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2003年日本地震学会

京都   1068
 

A059

鳥取県西部における深部低周波地震の群発活動
大見士朗 ・James Mori
 

B030

深さ50100km程度地震の地震波放射のエネルギーのスケーリング
James
 Mori ・金 亜以
 

P028 

微小地震の断層面および破壊伝播速度の推定:地震波放射効率の拘束 −南アフリカ金鉱山での至近距離高サンプリング地震観測−
山田卓司・James Mori ・小笠原宏・飯尾能久・川方裕則・井出哲 ・南アフリカにおける半制御地震発生実験国際共同グループ

 

P030 

1971年と2000年パプアニューギニアで起こった大地震の破壊域
Park,
 Sun Cheon and Mori, James

 

P189

2003726日宮城県北部地震の初期破壊過程
佐藤和彦・James Mori
 
 
 
 

2003年合同大会 地球惑星科学関連学会

幕張  52629
 

S044-011 

2000年鳥取県西部地震発生前のおける応力の絶対値の推定
Mori,
 James・吉川佳余
         
 

S044-P011 

地震の初期破壊過程の複雑性
佐藤 和彦・ James Mori

これまで地震の始まり方とその地震の最終規模の間に関係がみられるかどうかについていくつもの研究がなさ れてきた。その1 つにIio [1992,1995]によるslow initial phase の研究がある。これらの研究では、P 波の立 ち上がりに見られるゆっくりとした立ち上がりに注目し、その継続時間と地震の最終規模の間に相関がみられる ことを示した。Sato and Kanamori [1999]はこのようなフェイズを再現するモデルを提唱した。このモデルでは、 ある地震が高速破壊に至った大きさである初期クラックサイズの大きさにより、立ち上がりのゆるやかさが決ま る。そしてこのモデルに基づいて実際に観測波形から初期クラックサイズを求め、その規模依存性を調べる研究 がなされている(Sato and Mori [2002], Hiramatsu et al. [2002]など)
さて、このような研究は従来微小地震について多くなされてきたが、微小地震について見られた初期破壊過程 の規模依存性がより大きな地震にも共通して見られるかどうかを調べるため、Sato and Mori [2002]ではM4 クラ スの中規模地震およびM6-7 の大規模地震について解析を行った。その結果、M4 クラスまでは規模依存性が継続 しているが、M6-7 では規模依存性に破れがみられることがわかった。しかしこの解析において、M6-7 の地震はい ずれもマルチプルショックというべき複雑な震源過程を示しているのに対し、M4 クラスの地震についてはそのよ うな複雑な波形を持つ地震を除外しているという問題がある。すなわちここで見られた規模依存性の破れは、イ ベントの選び方の偏りによって生じた可能性がある。
比較的小さな地震では、マルチプルショックといえる複雑な震源過程のものと、そうではない単純な破壊過程 を持つものが混在しているのに対し、より大きな地震ではほとんどがマルチプルショックというべき複雑な破壊 過程を呈している。つまり、ある程度の大きさを境にマルチプルショックが卓越し、単純な破壊過程の地震は見 られなくなるのではないかと考えられる。
そこでマルチプルショックの出現頻度が地震の最終規模に応じてどのように変化するかを調べる。具体的には、 気象庁一元化震源に基づいて切り出されたHi-net の波形記録を用いて、マルチプルショックの規模別頻度分布を求める。現段階ではWeb ページから取得できる2002 6 3 日以降の波形記録を用いており、M3 以上の146 イベントについて検討を行っている。さらに、マルチプルショックと考えられるイベントについては、その最初のサブイベントサイズを考えて、初期破壊過程と最初のサブイベントサイズの間に規模依存性が見られるかどうか
についての検討も行っている。
 

S044-P012 

微小地震の破壊伝播速度:南アフリカ金鉱山での至近距離高サンプリング地震観測から
山田 卓司・ James Mori・ 川方 裕則・ 小笠原 宏・ 井出 哲・ 吉村 三智頼・ 南アフリ
カ金鉱山における半制御地震発生実験国際共同グループ


1.はじめに
破壊伝播速度の解析は、破壊エネルギーの推定や地震破壊の開始および停止機構を知る上で重要である。ま た、微小地震の破壊伝播速度の推定や、地震破壊の開始および停止過程を含めた破壊伝播速度の時空間的変化を詳細に見積もるためには、至近距離・高サンプリングで地震観測をすることが大変重要である。
南アフリカMponeng 鉱山(旧称 Western Deep Levels 南鉱山)の地下2,650m には、金鉱脈下約50m の運搬坑道沿いに3 成分加速度計9 台がボアホール内に設置されており、採掘に伴って切羽の前面に発生する多数の微小地震を至近距離で観測している。1996 2-10 月の間に、25,000 以上のイベント(M -2.73.3)が約15kHz という高いサンプリングレートで観測された。これらのイベントの中には震源距離が数十〜数百m のイベントが多数含まれている。これらの中から、観測点配置がよく、サブイベントが明瞭に識別できる波形を選び、M1.4, 1.1,0.8 3 イベントに対して破壊伝播速度を決定した。
2.解析手法
P
波初動の立ち上がりからサブイベントのP 波振幅が極大となるまでの時間差を読み取り、初動の震源に対してサブイベントの相対震源決定を行う。時刻の読み取り精度は0.068ms(14,970Hz)である。初動とサブイベントとの距離を、破壊開始時間差で割ることにより、破壊伝播速度を見積もった。サブイベントの震源と時間差は、サーチ間隔が10cm および20ms のグリッドサーチにより決定した。
3.結果と考察
3
イベントについて解析を行った結果、破壊伝播速度は2.103.01 km/s と求められた。これらの値はS 波速度の5580%にあたり、中、大規模な自然地震の破壊伝播速度と同程度の値である。

本研究の結果から、南アフリカ金鉱山内での地震による地震放射エネルギーに対する破壊エネルギーの比は特徴的に大きいということはなく、中、大規模自然地震による地震波放射エネルギーと破壊エネルギーの比と同程度であるといえる。一方、地震によるひずみエネルギーの解放は、(1)摩擦エネルギー、(2)地震波放射エネルギー、(3)破壊エネルギーの3 つに大別される。したがって、南アフリカ金鉱山内での地震の静的応力降下量が中、大規模自然地震のそれと同じであると仮定すると、地震モーメントと破壊エネルギーの比、ひいては地震モーメ ントと地震波放射エネルギーの比は、南アフリカ金鉱山内の地震でも中、大規模自然地震でも同程度であると考えられる。今後さらに多くのイベントに対し解析を進める予定である。
 


 

S045-P011 

鳥取県中西部の地震(2002916日、Mj5.3)と山陰の地震活動について
中尾 節郎・ 片尾 浩・ James Mori・ 澁谷 拓郎・ 渡辺 邦彦・ 伊藤 潔


 

S053-P019 

ラバウル火山地下構造の地震波トモグラフィーによるイメージング
谷村 琢也・James Mori

パプアニューギニア,ラバウル火山カルデラの3 次元P 波速度構造を調べるためにトモグラフィーを行った。 ラバウル火山は、ラバウルの町に大きな被害を与えた1994年の噴火も含め、20世紀に2度の噴火をした活動的な火山である。今回得られた3次元速度構造はカルデラ地下に位置するマグマの構造を探る手がかりになると考える。用いたデータは、ラバウル火山観測所(RVO)定常観測網の12観測点で観測された455の自然地震で、読み取り数は3756である。これに加えて、RELACS プログラムの一部として行われたラバウル近海での海中発破のデータも使用した。こちらの走時の読み取り数は1854 である。格子点間隔は水平方向に1.5km、深さ方向に1kmとし、格子点はカルデラを覆うように置いた。チェッカーボードテストの結果は、カルデラ内部で4km の深さまでよい解像度を示した。
1−3kmの深さで、カルデラ中央で南北に伸びるP 波低速度域が確認された。このP 波低速度域の位置は、1973から1985年の期間に観測された地表の隆起域と一致する。このことはP 波低速度域がマグマ溜りであることを示唆する。この低速度域は最近の噴火を起こした火口の下ではなく、カルデラ中央に位置する。このことから、カルデラ中央の大きなマグマ溜りと、カルデラ外縁に位置する火口とをつなぐ細い火道が存在していることも考えられる。
 
 

S075-018   

鳥取県西部地震震源域の深部低周波地震の現状
大見 士朗・James Mori

はじめに:内陸の活断層で発生する深部低周波(DLF)地震は,地震発生層のさらに深部に位置し,さらに,一 部のイベントの震源メカニズムは流体の移動を伴うことと調和的でもあることもあり,断層の深部延長上で発生すると考えられているすべり過程に関連している可能性がある.2000 年鳥取県西部地震の震源域では,本震の発生前からDLF 地震が発生しており,本震から2 年以上の経過後も活発なDLF 地震活動が続いている.本報告では,鳥取県西部地震の震源域で観測されている深部低周波地震の現状について述べる.なお,本報告では,気象庁による一元化震源リストと,京大防災研鳥取観測所およびHi-net によって取得された地震波形を利用している.
DLF
地震活動の現状:気象庁一元化震源リストによるDLF 地震の震源分布によれば,鳥取県西部地域のDLF 地震の発生は,本震発生から2 年間にわたり,ほぼ同様の領域に限られている.また時空間分布によれば,これらの地震は本震発生後2年を経てもほぼ定常的に発生している.時空間分布によれば,本震後2001 2 月ごろまでと2001 12 月〜2002 2 月頃にかけて発生数の少ない時期が認められるが,この時期は冬季でもあり,季節風等の影響による検知能力低下等の可能性が考えられ,DLF 地震の活動度に時間的な変遷が認められるかどうかは定かではない.DLF 地震の活動は本震発生後に活発化したことが明らかであり,本震前の活動状況の把握を行なうことは
重要であるが,過去の記録の調査は困難が予想され,今後の課題となっている.
DLF
地震の規模別頻度分布によれば,DLF 地震の最大マグニチュードは高々2強であり,この状況も本震後2年間に大きな変化はない.しかしながら,2002 5 月ごろからややマグニチュードの大きなDLF 地震が発生しているように見受けられ,従前と異なる発生様式を持っているDLF である可能性がある.
DLF
地震の発生メカニズムの考察:DLF 地震はそのマグニチュードが小さく,通常の波形解析による震源過程の考察には困難を伴う.そのような中で,Ohmi and Obara (2002)は,P 波とS 波の振幅比やS 波の振動方向を用いて,鳥取県西部地震の本震発生の約9 時間前に発生した,M1.7 DLF 地震の発生メカニズムの考察を試みた。 それによれば,このDLF 地震の発生メカニズムとしては,通常のダブルカップル型ではなくシングルフォース型の力源を仮定するほうが,データをよりよく説明できるとされている.シングルフォース型のメカニズムは,流体移
動等を示唆するものである.
前節で述べたように,2002 5 月ごろから,若干マグニチュードが大きく求められるDLF 地震が観測されるようになっている.これらのマグニチュードは2内外で,P 波の立ち上がり部分のパルス幅がかなり長いイベント
が含まれていることがわかった.これらのDLF イベントの震源時間関数を見積もるため,震央位置が近い小地震を経験的グリーン関数としてデコンボリューション処理を行なってみたところ,rise time 0.2 秒を超えるような震源時間関数を示すDLF 地震が認められた.DLF 地震の深さは30km 内外である一方,グリーン関数とした小地震は深さ14km 内外のイベントであるため,DLF 地震波形の後続部分は,主に14km 程度よりも浅い部分で形成されるという仮定が必要となる.この仮定が妥当であるかどうかは議論が必要であるが,本解析結果によれば,rise time0.2 秒程度を超えるような通常の地震はM5 クラスにも匹敵することから,DLF の中には,そのマグニチュードに比較して異常に震源時間関数が長いものが存在することになる.これは,DLF 地震の震源過程は通常の地震のそれとは異なることをあらためて示唆するものである.
 
 
 

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