2021年4月26日北海道札幌市付近の爆発音の震源推定 | |
2021年4月26日20時頃、北海道札幌市付近で原因のわからない爆発音の観測報告がありました。 (参考 Yahoo news) 我々は地震計のデータを利用して、爆発音の震源位置を調べました。 図1に示すように、衝撃波の信号は石狩湾を中心に半径100q程度の広い範囲にかけて観測されています。 到達時刻が最も早いのは北海道大学のHU.HAM観測点で、19時56分10秒前後です。 この衝撃波を出す物体の飛行経路を調べたところ、北東から南西方向に向かって仰角30度程度で移動していることが分かりました。 信号の消失点は石狩湾の沖合であることが分かりました。 このような信号を出す物体として、隕石や火球、音速を超えて飛行する戦闘機などが考えられます。 |
![]() 図1 地震計に記録された衝撃波の到達時刻と、到達時刻を説明する線震源モデル 背景の色が衝撃波の到達時刻を最もよく説明するモデル。 (時間は19時55分からの秒数) ![]() 図2 仰角の図 ![]() 図3 2-8Hzのフィルタをかけた地震波形。(時間は19時55分からの秒数) 図1の星印の位置から距離の順に並べてある。 |
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![]() 図4 地震計の観測記録から算出した信号の到達時刻(小円)と、モデルから推定した信号の到達時刻(背景色)。 ほぼ同心円状のコンターは、火球が非常に高角で落下した時に見られる特徴である。(時間は19時55分からの秒数) ![]() 図5 地震波形の例。横軸は100秒間。 |
参考文献: Yamada, M. and J. Mori (2015). Seismic Observations of the Sonic Boom Produced by the Chebarkul Meteorite. 京都大学防災研究所年報, pp.47-52. pdf Yamada, M. and J. Mori (2012). Trajectory of the August 7, 2010 Biwako Fireball Determined from Seismic Recordings. Earth, Planet and Space, Vol.64-1, pp.27-35. pdf Ishihara, Y, Tsukada, S, Sakai, S, Hiramatsu, Y, and Furumoto, M. The 1988 Miyako fireball's trajectory determined from shock wave records of a dense seismic array. EPS 55, 2003 Ishihara, Y, Furumoto, M, Sakai, S., and Tsukada, S. The 2003 Kanto large bolide's trajectory determined from shockwaves recorded by a seismic network and images taken by a video camera. Geophysical Research Letters 31(14):L14702, 2004 Kanamori, H., J. Mori, D. Anderson, T. Heaton, Seismic Excitation by the Space Shuttle Columbia Nature, 349, 781-782, 1991. Mori, J. and H. Kanamori, Estimating trajectories of supersonic objects using arrival times of sonic booms, U.S. Geological Survey Open-File Report 91-48, 15 p., 1991. 長沢工, 三浦勝美, 地震計記録から決定した 1987 年 9 月 11 日の大火球の径路. 東京大学地震研究所彙報. 第62冊第4号, pp. 579-588, 1988
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