2015年ネパールゴルカ地震の被害調査報告
Masumi Yamada, Kyoto University

2015年4月25日11時56分頃(現地時刻)、ネパール中央部で発生したゴルカ地震により、多数の建物が倒壊し多くの被害が発生しました。本災害により亡くなられた方のご冥福お祈りし、被災された多数の方々にお見舞いを申し上げます。

我々は2015年9月18日から24日まで、1週間に渡って被災地の被害調査を行いました。調査した地域はカトマンズ盆地と、盆地の東側50km程度の範囲、及び盆地の北側50km程度の範囲です。ネパールの地質調査所(DMG)と耐震工学のNGO(NSET)へのヒヤリングにより、これらの地域に被害が多いことを確認しました。

各地の建物の全壊率を下の地図に示します。調査した地域の中で特に被害が大きかったのは、ChautaraとBharabiseでした。これらの町では100棟程度を調査して全壊率が40%を超えていました。また、この建物被害率は各地区の死者数とも比較的よい相関を示しています。

ネパールの家屋は、煉瓦造の建物がほとんどで、柱も含めてすべて煉瓦で作られているもの、また柱梁の軸組だけが鉄筋コンクリートで壁が煉瓦で作られているもの、などがありました。またカトマンズなどの大都市では鉄筋コンクリート構造の建物も一部確認できました。今回の短時間の調査では十分に判別できませんでしたが、建物の構法や強度を考慮して被害を把握していくことが今後の課題と考えられます。



図1 調査した町の建物の全壊率と各地区の死者数(参考:Nepal Disaster Risk Reduction Portal)





図2 調査した地域と調査日(上から、カトマンズ盆地内、盆地外)




図3 ネパールの代表的な建物の構造(左:煉瓦造の建物、右:軸組のみコンクリートで作られた建物)






図4 大きな被害を受けた建物(いずれもChautaraで撮影)



参考文献:

1) Nepal Disaster Risk Reduction Portal http://drrportal.gov.np/ndrrip/main.html?id=0


謝辞:
本研究は国際緊急共同研究・調査支援プログラム (J-RAPID)の支援を受けています。 http://www.jst.go.jp/pr/info/info1110/


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