2016年1月6日の北朝鮮の人工地震の震源推定

2016年1月6日10時30分頃、北朝鮮付近を震源とする地震波を観測したという報告が気象庁からありました。 (第1報, 第2報, 第3報 ) 我々はHi-netの地震計のデータを利用して、P波が到達した時刻を調べ、震源位置を推定しました。

日本全国に分布するノイズレベルの低い20点ほどの記録を用いて、P波検知を行いました。その後、気象庁の一次元速度構造を利用して、震源を推定しました。推定された震源は、北緯41.38、東経128.83に求まりました。また、震源時刻は10時30分頃と推定されます。

地震波形から、P波が明瞭に記録されているのに比べ、S波は不明瞭であることが確認できます。このような特徴は、人工爆発などによく現れることから、今回の地震が人工的なものであった可能性を示唆しています。



表1 推定された震源位置
指標 推定値 誤差
緯度 41.383度 0.018度
経度 128.825度 0.042度
深さ 1.08km 0.14km
震源時刻 2016/01/06 10:29:53.74 0.45秒


図1 解析に使用したHi-netの地震計の位置



図2 北朝鮮の実験施設の様子 参考:USGS website



図3 距離の順で並べた地震波形。明確なP波に比べ、S波はほとんど観測できない。



参考文献:

USGS, M5.1 Nuclear Explosion - 22km ENE of Sungjibaegam, North Korea website

気象庁報道発表資料 北朝鮮付近を震源とする地震波の観測について (第1報, 第2報, 第3報


謝辞:
本研究では、防災科学技術研究所の地震観測ネットワークによって記録されたデータを利用しました。


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