2025年8月19日23時10分ごろ、鹿児島や宮崎を中心に西日本の広範囲で火球の観測報告がありました。 （参考 NHK WEB, SonotaCo.JP） 我々は地震計のデータを利用して、衝撃波が地上に到達した時刻を調べました。
図1に示すように、衝撃波の信号は鹿児島県の全体と宮崎県の南部で観測されています。 波形を良く調べたところ、図2に示すように到達時刻の早い5観測点は波形の継続時間が長く1分程度、 遠方の観測点は数十秒と比較的短いことが分かりました。
そこで、近傍5観測点を除いて点震源を仮定して震源推定したところ、 図1の星印の位置（鹿児島県南東沖80kmぐらい）に推定されました。
近傍5観測点のみを用いて点震源を仮定して震源推定したところ、 図1の星印から北西に15kmほど移動した場所に推定されました。
これらの結果から、火球は鹿児島県南東沖から北西に向かって 落下しながら衝撃波を発生したと考えられます。 また、最初の衝撃波は広域に届くほど大きく、さらに低い高度で発生した後続の衝撃波は少し小さかったと考えられます。
図3の波形で、大きな衝撃波は1の線の時間に観測され、 より低い高度で発生した衝撃波は到達時刻が早いため、 1と2の線の間に記録されていることが分かります。
図1 地震計に記録された衝撃波の到達時刻と、到達時刻を説明する震源モデル
（時間は23時00分からの秒数）
（背景の色が衝撃波の到達時刻を最もよく説明するモデル）。
図2 近傍5観測点の波形（左）と、遠方(150kmほど）の観測点の波形（右）。近傍の観測点は継続時間が長く、後ろの方にシャープなピークがある。
図3 2-8Hzのフィルタをかけた地震波形。（時間は23時00分からの秒数）
図1の星印の震源から距離の順に並べてある。
図4 火球落下と衝撃波発生の模式図。
参考文献：
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謝辞：
本研究では、防災科学技術研究所、気象庁、全国の大学の地震観測ネットワークによって記録されたデータを利用しました。