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2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震
緊急地震速報配信状況
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1.地震について (Earthquake Information)

この地震では、東日本の各地で多大な被害をもたらしました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。また一刻も早い復興を祈るばかりです。

一般向けの緊急地震速報は、最初にP波が観測されてから8秒後、地震発生31秒後に東北地方に発信されました。 気象庁の発信状況によれば、S波到着後に速報が発信された地域はなく、伝達遅延を考慮しなければすべての地域で速報はS波到達に間に合いました。 これは、震源が陸から150kmほど遠方にあったことによるものです。 しかしながら、余震が様々な場所で同時に発生したため、震源決定がうまく作動せず、本震以降2-3時間の間緊急地震速報の配信は滞りました。

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   震源時刻: 2011/03/11,14:46:18.1
   緯度: 38.103 N
   経度: 142.86 E
   深さ: 24.
   モーメントマグニチュード: 9.0
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表1:地震の基本情報 (ref. 気象庁の震源リスト)


図1:震源の位置。宮城県から150kmほど沖合。

2.観測点分布 (Station Distribution)


図2:観測点配置図。黒い円は震源から50、100、150kmを示している。

3.緊急地震速報発信状況 (JMA Earthquake Early Warning Report)

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   [01] 11/03/11-14:46:19 01 M4.3 38.2E 142.7E 010km (11/03/11-14:46.46)
   [02] 11/03/11-14:46:19 03 M5.9 38.2E 142.7E 010km (11/03/11-14:46.47)
   [03] 11/03/11-14:46:19 04 M6.8 38.2E 142.7E 010km (11/03/11-14:46.48)
   [04] 11/03/11-14:46:19 5- M7.2 38.2E 142.7E 010km (11/03/11-14:46.49)
   [05] 11/03/11-14:46:19 04 M6.3 38.2E 142.7E 010km (11/03/11-14:46.50)
   [06] 11/03/11-14:46:19 04 M6.6 38.2E 142.7E 010km (11/03/11-14:46.51)
   [07] 11/03/11-14:46:19 04 M6.6 38.2E 142.7E 010km (11/03/11-14:46.52)
   [08] 11/03/11-14:46:17 04 M7.2 38.1E 142.9E 010km (11/03/11-14:46.56)
   [09] 11/03/11-14:46:16 5- M7.6 38.1E 142.9E 010km (11/03/11-14:47:03)
   [10] 11/03/11-14:46:16 5- M7.7 38.1E 142.9E 010km (11/03/11-14:47:11)
   [11] 11/03/11-14:46:16 5- M7.7 38.1E 142.9E 010km (11/03/11-14:47:26)
   [12] 11/03/11-14:46:17 5+ M7.9 38.1E 142.9E 010km (11/03/11-14:47:49)
   [13] 11/03/11-14:46:17 5+ M8.0 38.1E 142.9E 010km (11/03/11-14:48:06)
   [14] 11/03/11-14:46:17 6- M8.1 38.1E 142.9E 010km (11/03/11-14:48:25)
   [15] 11/03/11-14:46:17 6- M8.1 38.1E 142.9E 010km (11/03/11-14:48:37)
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表2:緊急地震速報の配信状況。一般向けの速報は第4報(赤字)で配信された。最初にP波が観測されてから8秒後、地震発生31秒後に発信。
(左から順に情報番号,震源時,最大予測震度,マグニチュード,震央緯度,震央経度,震源深さ,電文発表時刻) from CEORKA

--> 気象庁による緊急地震速報の内容

4.速報の猶予時間 (Warning Time)


図3:速報の猶予時間。震度6以上を観測した多くの地域で、S波到達までに10-30秒の猶予時間がありました。 (気象庁の報道発表資料に加筆)

5.観測記録 (Observed Seismic Intensity)


図4:気象庁の震度マップ (ref. 気象庁 震源・震度に関する情報)。宮城県栗原市で震度7を観測。


図5:被災人口のマップ。 各市町村の人口に中心部における震度計計測震度を割り当てて計算している。 震度7を経験したのは8万人程度、震度6強は51万人程度、震度6弱は425万人程度。

6.予測震度 (Estimated Seismic Intensity)


図6:緊急地震速報の際に予測された震度マップ。黒い円は推定された断層面を示している。(現在のシステムでは点震源モデルを使用しているため。)予測震度は関東や東北の多くの地域で過小評価となった。これは、1)予測マグニチュードが小さかったこと、2)推定された断層面が小さく、断層距離が長くなったこと、3)断層形状を考慮しなかったこと、などが原因と考えられる。

謝辞:
気象庁の震度情報、震源情報等を利用しました。

参考:
- 緊急地震速報を発表した地震の解析結果
- 山田真澄 ホーム