伊能忠敬の磁針測量方位角台帳「山島方位記」67巻からの伊能測量時の地磁気偏角の解析は1917年に大谷亮吉先生による唯一、深川黒江町伊能隠宅址での1802年1803年の地磁気偏角の解析以後、解析困難で長年途絶えた。1967年に出された保柳睦美先生による推定の等偏角線図はガウス・ウェーバーの1830年の等偏角線図や明治以来の日本の地磁気観測の結果とは大きく異なり、今道周一初代所長は1984年他界5年前の90歳の高齢をおして、保柳氏の伊能図研究の業績を讃えながら等偏角線図は適切ではなかった様だとの極めて謙虚な意見且つ慎重丁寧なガウス図等との照合により、本来予想される伊能測量時の等偏角線図の試案も提示され柿岡地磁気観測所紀要Vol. 21に投稿されたことは混乱防止と堅実な指針になり、感謝にたえない。以下、「山島方位記」の解析等の現状を述べる。