気象庁地磁気観測所では1976年から年1〜2回程度の全磁力繰り返し観測を、1990年からは全磁力連続観測を草津白根山の湯釜火口周囲で開始し、2012年現在まで継続している。 観測期間中には1982年から1983年に湯釜火口で発生した5回の噴火や1989年末から1992年頃までの火山活動の活発期があり、これらのイベントでは湯釜付近の地下で熱消磁が進行したことが原因と考えられる明瞭な全磁力変化が観測された。これらのイベントも含む過去36年間に得られた草津白根山の全磁力データを再解析し、長期的な熱的活動の 推移を報告する。 また、得られた全磁力データの参照値として草津白根山から南に約60 km離れた八ヶ岳地球電磁気観測所で観測した全磁力値を用いているが、草津白根山と八ヶ岳との間の地磁気永年変化の違いを考慮しないと観測結果を誤って解釈するおそれがあることがわかった。