本研究では、Sheffer(2008)の手法を参考に自然電位分布及び数点の水位情報から水頭分布を推定する逆解析手法を開発した。また、Carrera et al.(2005)を参考に水頭分布から透水構造を逆解析する手法を開発しSheffer(2008)の手法と組み合わせることで、自然電位分布及び涵養、湧水量から透水構造を推定する逆解析手法も開発した。透水構造に不均質構造が存在する場合に予測される自然電位分布に水頭分布推定の逆解析手法を適用したところ、推定された水頭分布は浸透流解析より得られる結果と概ね一致した。また、透水構造の逆解析結果に関しても、シミュレーションに与えたモデルと類似した透水構造を再構築することもできた。このことより、数点の井戸の水位データや地下水の流入出量を先見情報として与え自然電位分布データを逆解析することで水頭分布や透水構造が推定できることが示された。