津波による海洋ダイナモ効果は、Tyler (2005)を始めとする周波数領域における理論的解析により、その特徴が次第に明らかになってきた。しかし、周波数領域における解だけでは、過渡現象としての,特に津波第一波の,影響をどの程度正確に再現できているかには疑問が残る。またTyler(2005)の理論では、津波ダイナモによって生成される電磁場に対し、海底地形及び海底下の比抵抗構造がどの程度影響しているかを推定することはできない。 以上の疑問を解決するため、本研究では、時間領域において津波ダイナモ効果を再現する、二次元有限要素法シミュレーションコードを開発した。本コードでは、任意の二次元地下比抵抗構造、任意の二次元海底地形を考慮でき、津波によって生成される鉛直磁場、津波の進行方向に平行な水平磁場、及び,津波の進行方向に垂直な電場水平成分を計算することが可能である(これは,地磁気地電流法におけるTEモードに対応する)。 本コードによるシミュレーションの結果、津波発生直後の波源付近では、誘導される電場の水平成分が、周波数領域における解析結果とは大きく異なることが示された。 本講演では、本研究で開発した二次元津波ダイナモシミュレーションコードの概略、及び、シミュレーションから示唆される海底地形と地下比抵抗構造の影響について議論する予定である。