地震被害調査報告
Masumi Yamada, Kyoto University

岩手・宮城内陸地震被害調査速報 7月12日−7月14日





12日(土)の行動


栗原市鶯沢・鷺沢工業高校前のがけ崩れを確認。高さ5メートル、幅15メートルほどにわたって、コンクリートの擁壁が崩れていた。
その後、栗原市鶯沢公民館周辺の被害を確認した。 ブロック塀の傾斜や、壁のひび割れなど、比較的軽微な被害が多く見られた。



東成瀬村のKiK-net観測点(AKTH04)は、国道342号と397号の交差点から、小道を登ったところにある。広域消防無線中継所などがある広場で、避難場所のようである。観測点の後ろは急ながけになっており、がけの下は342号線につながっている。このあたりの住宅被害はほとんどみられない。



K-NET観測点(AKT023)は、KiK-net観測点から3kmほど南側の椿川小学校内にある。小学校には被害が見られなかったが、K-NET観測点の柵が大きく傾いていた。 近くにある墓地では、転倒したものは見られなかったが、数センチずれたものがあった。



秋田県湯沢市内の観測点をチェックした。KiK-net観測点 (AKTH19)は湯沢北小学校内にある。周辺は田んぼに囲まれておりほとんど住宅がないが、校舎の建物を見る限りでは被害は見当たらない。 さらに、湯沢文化会館内にある気象庁の観測点を調べた。周辺の建物に被害は見当たらなかった。



13日(日)の行動

一関市役所にて通行許可をもらい、祭畤地区へ向かった。祭畤地区への迂回路は未舗装の道路であり、所々轍もあり、小型の乗用車では運転しにくい場所もあった。また、当日の気象条件によって、通行禁止になる場合もあるようである。



KiK-net観測点(IWTH25)は、祭畤スノーランド駐車場内にあった。周辺のほとんどの住宅が被害を受けており、特に土台や基礎の被害や、窓の被害が目立った。また、トイレや風呂、パイプなどの非構造材の被害も多かった。この地域全体に言えることだが、住宅周りの地盤が沈降している被害が目立った。住民の目撃証言によれば、地震の時に車が跳ねながら移動してきた、とのことであった。



祭畤地区のすぐ西側の真湯温泉は、キャンプ場を備えたリゾート施設である。RCの構造物でひび割れやパネルのはがれなどの被害が見られた。



一関までの途中で、県道49号線を南下し、産総研の断層調査の場所をチェックした。田んぼの中の断層は、稲が成長したこともあり、非常にわかりにくくなっていた。



謝辞
祭畤地区への迂回路の写真と断層の写真は、福島康宏氏にご提供いただきました。


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